理学療法 運動療法まとめ

腱板断裂保存療法のリハビリと運動療法

こんにちは。

今回は臨床でよく経験する腱板断裂についてまとめます。

よく臨床で経験しますが腱板断裂している人はどのぐらいなのでしょうか?

無症候性も含めると腱板断裂を有している方は65歳以上の50%以上であると言われています。そんなに多いんですね。

そんなに多いなら腱板断裂の治療について少しでも理解を深めたいですね。

 腱板断裂の治療は手術療法と保存療法に大別されますが、今回は保存療法についてまとめていきます。

保存療法の理学療法のポイントは断裂した筋に負担をかけず、残存している機能を高めることです。その為にはまず評価を行い、どの腱板に負担がかかっているのかを調べなければなりません。また腱板断裂は肩甲胸郭関節の機能低下による腱板へのストレス増加が関与していることが多く、肩甲胸郭関節の機能も評価しなければなりません。

 

 

腱板断裂保存療法の評価ポイント

①どの腱板に負担(損傷)が生じているか

②腱板機能の低下なのか肩甲胸郭関節の機能低下なのか

③肩甲胸郭関節の機能低下は肩甲骨固定力の低下なのか体幹の固定力の低下なのか

それではこの3つの評価方法を説明していきます。

 

腱板断裂保存療法の評価

①どの腱板の損傷?

 評価名:外転・挙上抵抗運動

評価方法:3つの姿位でどの姿勢で痛みが増強されるか確認します。

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結果の解釈:

前方挙上で痛み→肩甲下筋の機能低下or損傷

外転挙上で痛み→棘下筋の機能低下or損傷

どの姿勢でも痛みの強さは変わらない→棘上筋の機能低下or損傷、炎症期

 

前方挙上で痛みが増強するのであれば前方の腱板機能低下

理由:前方関節包の張力が緩むから

痛みのない範囲で理学療法士による肩甲下筋の促通

 

外転挙上で痛みが増強するのであれば後方の腱板機能低下

理由:後方関節包の張力が緩む

痛みのない範囲で理学療法士による棘下筋の促通

 

 

②腱板機能低下or肩甲骨固定性低下?

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痛み:肩甲骨固定<肩甲骨非固定

肩甲骨の固定性が必要

 

痛み:肩甲骨固定>肩甲骨非固定

腱板機能の改善が必要

 

 

③肩甲骨固定性or体幹の固定性?

 

痛み:体幹固定<体幹非固定

肩甲胸郭関節の筋力低下を体幹で代償

体幹の固定性改善が必要

 

痛み:体幹固定>体幹非固定

肩甲胸郭関節の筋出力能力を体幹が阻害

体幹・胸郭の可動性が必要

 

  

腱板断裂保存の運動療法

保存療法では断裂した回旋筋腱板の積極的な抵抗運動は断裂部位が拡大する危険性があるため推奨できないとされています。1)

その為断裂のないその他の回旋筋腱板、三角筋、肩甲骨周囲筋(前鋸筋、菱形筋、僧帽筋、広背筋)の機能改善が必要である。

 

①腱板Ex

ペットボトル(内外旋)

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テーブルサンディング(内旋・外旋)

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輪ゴム

  

 

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②肩甲骨の固定筋改善

棘下筋の低下:体幹と頚部の伸展運動や僧帽筋中部線維の機能改善、肩甲骨内転運動

EX:おしりあげ、胸張り

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肩甲下筋の低下:腹斜筋や前鋸筋

EX:ツイストクランチ、背臥位突き出し

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体幹の機能改善

EX:腹筋

 

体幹の回旋可動域改善

EX:側臥位胸郭回旋

 

  

腱板断裂保存の炎症期ADL指導

最後に腱板断裂に最も重要なのは炎症・痛みの改善です。

炎症期に過度な負荷をかけるとどんどん悪化します。

この時期に必要なのは安静と徹底した疼痛管理です。

理学療法士として炎症期に重要なのは良姿位の確保です。なるべく痛みのない姿勢を取れるよう指導する。

肩の良姿位には軽度屈曲外転位、重力の除去がポイントです。

どうすればこの姿勢が取れるのか?姿勢によって違います。

 

立位:ズボンに親指をひっかける

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座位:脇にタオルを挟む

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背臥位:肘の下にタオルを入れる

 

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 まとめ

腱板断裂保存症例に対する理学療法は残存機能をいかに引き出すかが重要です。

評価をしっかり行い、患者さんの状態に適した理学療法を行う必要があります。

 

 

 

〜1人でも多くの患者さんに笑顔を〜

 

文献

1)Sorensen AKB,Bak K,Krarup AL,et al:Acute rotatorcuff tear:do we miss the early diagnosis?A prospective study showing a high incidence of rotator cuff tears after shoulder trauma.J Shoulder Elbow Surg 16(2):174-180,2007.