理学療法 運動療法まとめ

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)のリハビリに悩んでいませんか

上腕骨外側上顆炎(テニス肘

 

上腕骨外側上顆炎とは、肘関節の外側の疼痛を主訴とする頻度の高い疾患である。テニスの愛好家、手を使う作業をする方、パソコンを長時間使用される方などに多いとされている疾患である。本疾患は別名テニス肘とも呼ばれ、テニスプレーヤーの30〜50%に肘関節外側に疼痛を経験している。

 

 

上腕骨外側上顆炎の疫学

本疾患は30-50歳代に好発し、それ以下での若年層では発症頻度が少ない。1)

発症頻度はやや女性に多いと報告されている。

  

上腕骨外側上顆炎の症状

物を持ち上げる動作やタオルの絞り動作、テニスのバックハンドなどで肘から前腕にかけて痛みが出る。

 

上腕骨外側上顆炎の原因

短橈側手根伸筋の腱付着部の炎症が主な原因。その他には肘外側の関節包の炎症や、関節包のインピンジメント、外側側副靭帯の損傷などがあると言われている。

  

どうして短橈側手根伸筋が損傷されやすいのか

他の筋肉に比べて極めて薄い筋肉の為、負担が集中しやすく損傷しやすいと言われている。起始部は幅10mm,厚さ1mmで扁平な形状である。

 

短橈側手根伸筋(ECBR)について

起始:上腕骨外側上顆、外側側副靭帯、橈骨輪状靭帯

停止:第3中手骨底の背側面

作用:手関節背屈・橈屈、肘関節伸展

※橈屈にはあまり貢献しません

神経支配:橈骨神経

 

腕橈滑液包について

短橈側手根伸筋の起始腱とその深層の外側側副靭帯の間に腕橈滑液包が存在する。

これは短橈側手根伸筋の起始腱と外側側副靭帯の間に生じる摩擦力を軽減している。

したがって短橈側手根伸筋の緊張亢進や、前腕回内運動における橈骨頭の過剰な外側偏位が出現すると、腕橈滑液包への圧迫力が増強し、滑液包炎が生じる可能性がある。前腕回内時に橈骨頭は外側へ偏位する。 

 

滑膜ヒダについて

短橈側手根伸筋と滑膜ヒダは、外則上顆部で共通の起始部を有している。

手関節の背屈によって短橈側手根伸筋が収縮し、滑膜ヒダが引き出される。

これにより滑膜ヒダの挟み込みが予防される。 

病態

筋および起始腱の炎症、微細損傷、カルシウム沈着、血管性線維増殖など

 

上腕骨外側上顆炎の評価

下記の3つの評価時が代表的です。検査時に肘から前腕にかけて痛みが誘発されれば陽性となります。

Tomsenテスト

方法:肘伸展位・手関節背屈に対して抵抗をかける

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Chairテスト

方法:肘伸展位で椅子を持ち上げる

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中指伸展テスト

方法:肘伸展位で中指伸展に対して抵抗をかける

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上腕骨外側上顆炎の治療

1.薬物療法(GradeA)

上腕骨外側上顆に非ステロイド性抗炎症剤NSAIDsが用いられる。

2.装具・サポーターの装着(GradeB)

3.ステロイド剤局注(GradeA)

短期的には効果が一番高い

4.理学療法(GradeA)

長期的には効果が一番高い

 

前腕伸筋群のストレッチ

方法:肘関節伸展位、前腕最大回内位、手関節掌屈位から手関節をさらに掌屈方向へ伸ばす。

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短橈側手根伸筋と総指伸筋の促通

方法:肘伸展位で手関節背屈・橈屈を行いながら筋腹を尺側へ誘導する。

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運動学的理由:短橈側手根伸筋と総指伸筋の筋腹は、手関節背屈時に尺側へ移動する。

短橈側手根伸筋の収縮の伴う尺側への移動を確保する為には、尺側に位置する総指伸筋の尺側への移動が必要である。

 

まとめ

今回上腕骨外側上顆炎についてまとめました。少しでも臨床の役に立てると嬉しいです。 

 

参考・引用文献

1)菊池直士:医師集団のテニス肘について:九州スポーツ医会誌(1994)6135-6139.

2)上腕骨外側上顆診療ガイドライン:2006