理学療法 運動療法まとめ

頚椎症のリハビリに悩んでいませんか?

 

頚椎症とは

頚椎の加齢による椎間板の変性や靭帯が厚く、硬くなることなどにより、頚部の痛みなどの症状が出現したものを総称して頚椎症と呼んでいます。
好発年齢は50歳代と腰椎変性疾患よりも高く、男女比は男性が女性の2倍です。

 

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広義の頚椎症の分類

 頚椎症とは3つに分類することが出来ます。1)頚椎症 2)頚椎症性脊髄症 3)頚椎症性神経根症に分類することが出来ます。それぞれを説明していきます。

❶頚椎症

神経症状を伴っていない変形性頚椎症のことを狭義の頚椎症と呼びます。

症状は頚部痛、肩こり、頭痛、めまい、背部痛などがあります。

 

❷頚椎症性脊髄症

頚椎症性脊髄症は、加齢による様々な退行性変化によって頚椎の脊柱管が狭くなってしまい、その中を通る脊髄が圧迫されることで神経症状を起こします。

初期症状は両上肢のしびれと、歩行障害。それぞれ64%,16%である。1)

上肢の脊髄症状としては手の巧緻性障害も特徴的であり、書字・食事・ボタンのかけ外しが困難になることがしばしばみられます。また下肢の脊髄症状として痙性歩行や失調歩行も特徴であり、特に階段昇降や速歩で困難感を訴えます。

 

頚椎症性神経根症

頚椎症性神経根症は、加齢による様々な退行性変化によって神経根が圧迫されて神経症状が起きます。左右どちらか片側の上肢に痺れや痛みが出現します。

 

頚椎症の原因は加齢による椎間板の変性

頚椎の運動時には椎間板がたわみます。頚椎での変性は、まず椎間板繊維輪の亀裂から始まり、外傷、繰り返しの小外傷、運動などが椎間板変性の誘因となります。

椎間板内は血行がなく修復能力の乏しい組織であるため、髄核を含む椎間板全体の水分の減少を伴って変性が進行していきます。

この状況を椎間板変性と言います。

 

頚椎症の評価

10秒テスト

[目的]

巧緻動作を評価する

[方法]

両上肢を前方へ伸ばし、10秒間にグー・パーを出来るだけ早います。

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[結果]

20回以下の場合は巧緻動作障害を疑います。

 

 

Spurling Test

[方法]

頚椎を後側屈し、軸圧を加えます。

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[結果]

患側の上肢に痛みや痺れがみられたら陽性。

 

 

Jackson test

[方法]

頚椎を後屈し、軸圧を加えます。

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[結果]

上肢に痛みや痺れがみられたら陽性。

 

 

神経学的所見

神経根 C5 C6 C7
腱反射 上腕二頭筋 腕橈骨筋 上腕三頭筋
筋力 三角筋 上腕二頭筋 上腕三頭筋
感覚 上腕外側 前腕外側、母指、示指 示指、中指

 

頚椎症の治療

頚椎の動的安定化機能の改善

1)半棘筋の促通

2)後頭下筋群、板状筋の筋緊張緩和

肩甲骨のアライメント改善

胸椎伸展可動性の改善

ADL指導

 

❶頚椎の動的安定化機能の改善

 頚椎の動的安定化機能の改善には、板状筋や後頭下筋群のリラクセーション、半棘筋の機能改善が必要です。

 頚椎生理的前弯が減少すると代償として頭部屈曲位、環椎後頭関節や環軸関節の伸展増強が生じます。上位頚椎の伸展増強は後頭筋群の過緊張も関与しています。

頚椎の前弯を保持する為には、半棘筋が重要です。半棘筋の緊張が低く、頚椎の前弯を保持できない場合には、静的安定化機構に対する負荷が増します。

静的安定化機構に対する負荷が増すことで、頚椎の運動に関与する外側筋群である頭板状筋の緊張を亢進させて、代償的に頚椎の安定性を高めている場合がある。

 

 

❷肩甲骨のアライメントの改善

肩甲骨が外転・下方回旋位になると相対的に胸椎屈曲位になる。胸椎屈曲位になると頚椎での伸展可動性が増大します。その為肩甲骨を内転・上方回旋する僧帽筋中部繊維や下部繊維の筋力強化が必要です。

また僧帽筋中部・下部繊維の筋力低下が生じると、僧帽筋上部の筋活動が高まることで、肩甲骨が固定され頭部の伸展に作用してしまいます。

 

僧帽筋中部・下部トレーニングのご紹介

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肩甲骨外転・下方回旋位になると、肩甲骨下角部の内側縁が胸郭から浮き上がりやすくなります。肩甲骨内側縁を胸郭に引き付けるには大・小菱形筋、前鋸筋の機能改善が必要です。

前鋸筋トレーニングのご紹介

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❸胸椎の可動性改善

胸椎が屈曲位になると頚椎での代償が大きくなる。

胸椎伸展エクササイズ

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❹ADL指導

頚椎症では頚部の後屈動作をなるべく避けなければいけません。その為ADL指導が非常に重要になります。歯科治療、窓拭き動作、美容院での洗髪などの頚部過伸展強制されるようなことはなるべく控えるように指導しましょう。 

 

 

今回は頚椎症についてまとめました。頚部はどうしても苦手意識を持ちやすい部位かと思いますので一緒に勉強していきましょう。

 

 

参考文献 

1)鎌田修博,里見和彦:最新頸椎症診療 実践マニュアル 頸髄症の病型分類. Orthopaedics (1997) 10,1-6