理学療法 運動療法まとめ

肉離れ(筋断裂)のリハビリについて悩んでいませんか

肉離れとはスポーツ活動などによって筋に強い張力が急激に働くことにより、筋の一部が損傷した状態をいいます。肉離れはスポーツの現場において、頻度の高い外傷・障害の一つです。

 

f:id:shinya-bob:20170828161659j:plain

 

筋断裂の損傷程度による分類

筋断裂はⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3つに分類できます。

Ⅰ度は微細な断裂、Ⅱ度はより大きな断裂、Ⅲ度は完全断裂

 

筋断裂は、肉離れと筋挫傷に分かれる

肉離れ

要因 自家筋力や介達外力

原因 筋が過伸長されて発症

部位 筋腱移行部付近に多い

 

筋挫傷

要因 打撲など直達外力により発症

特徴 骨に近い深層に血腫や骨化性筋炎に移行することこもあるので注意が必要

部位 筋膜損傷が主

 

肉離れの分類

奥脇の分類

Ⅰ型 筋肉内、筋間、筋膜の損傷  競技復帰 2W

Ⅱ型 筋腱移行部の損傷     競技復帰 1〜3M

Ⅲ型 腱または腱付着部の断裂  競技復帰 6M以上

 

肉離れの好発部位1位はハムストリングス

1位ハムストリングス

2位大腿四頭筋

3位下腿三頭筋

4位股関節内転筋群

 

ハムストリングスの中では

1位大腿二頭筋長頭

2位半膜様筋

3位半腱様筋

 

肉離れの発生メカニズムのポイント

羽状構造、遠心性収縮、筋腱移行部、二関節筋がポイントとしてあげられる。

 

羽状筋と紡錘筋の特徴

羽状筋

❶筋肉腱に対して筋繊維が斜走(強収縮)

❷収縮方向が筋内腱と筋線維で異なる

❸多様な方向の負荷によりバランス不均衡

 

紡錘筋

❶両端の腱の間に筋繊維が走行

❷筋収縮と配列が同一方向

❸速いスピードの収縮が可能

 

肉離れの発生要因

身体的要因

❶筋の柔軟性低下(ハムストリングス、下腿三頭筋、腸腰筋

❷筋力、筋持久力の低下

大腿四頭筋ハムストリングスの筋力バランス

❹ランニングフォーム(接地期後半にハムストリングスの活動が高い)

 

季節的要因

試合期に向けて走行速度の向上する時期に多い

 

競技特性

関節角度が向上し、急激な伸長が加わりやすい動作

 

ハムストリングス肉離れの発生要因

大腿四頭筋ハムストリングスの筋力差

ハムストリングスの筋力の左右差

❸股関節柔軟性の欠如

 

ハムストリングス肉離れの理学療法評価

問診

視診・触診

熱感、腫脹、血腫、陥凹、硬結

疼痛

安静時痛

圧痛

自動運動時痛(膝関節屈曲、股関節伸展)

伸張時痛(腹臥位膝伸展テスト、SLR)

抵抗運動時痛(膝関節屈曲、股関節伸展)

 

ハムストリングス肉離れの治療

❶急性期(受傷直後から48時間)

RICE

Rest 安静

Ice アイシング

Complesion 圧迫

Elavation 挙上

 

❷回復期(受傷直後から48時間以降)

回復期のリハビリのポイント

1.筋の柔軟性向上

2.筋力の向上

3.筋持久力の向上

4.骨盤の不安定性改善

 

1.筋の柔軟性向上

伸長時痛+→クライオストレッチ

伸長時痛ー→スタティックストレッチ

抵抗運動時痛ー→ダイナミックストレッチ

 

2.筋力の向上

ポイント①収縮形態

等尺性→等張性→等速性

ポイント②負荷設定

低負荷→高負荷

 

ハムストリングスの肉離れプログラム

①腹臥位股関節伸展(ヒップエクステンション)

 

②おしりあげ(ヒップリフト)

 

③スクワット

 

④リーチバランス

f:id:shinya-bob:20170828234248j:plainf:id:shinya-bob:20170828232018j:plain

⑤ジャンプスクワット

 

⑥片脚ジャンプ

 

⑦ノルディックハムストリングス

f:id:shinya-bob:20170828155921j:plainf:id:shinya-bob:20170828160014j:plain

 

 

3.筋持久力の向上

エアロバイク

f:id:shinya-bob:20170828160227j:plain

 

4.骨盤の不安定性改善

①サイドブリッジ

②片脚立位

f:id:shinya-bob:20170828234851j:plain

③ランジ

④片脚連続ジャンプ

 

ハムストリングスの肉離れ再発予防

ハムストリングス肉離れの再発率30.6%

再発全体の2/3が復帰後の2週間以内に再受傷している。

復帰後1週目12.6%、復帰後2週目8.1%

 

復帰基準

❶痛みなし

❷健側の70-80%の筋力

❸健側と同等の柔軟性

❹屈曲と伸展の筋力比(60-70%)

❺骨盤の不安定性改善

 

ジョギング開始基準

スクワット、各種ランジ、片脚ジャンプで痛みがないこと

ランニング開始基準

ジャンプランジで痛みがないこと

ダッシュ開始基準

バウンディングで痛みがないこと

 

まとめ

今回は肉離れのリハビリについてまとめました。

肉離れは再発しやすい疾患と言われていますので、評価に合わせて段階的に状態をあげていきましょう。

 

参考文献

1)Burkett.L N Causative factors in hamstring strains Med Sci Sports Exerc 1970;2:39-42

2)Heiser.T.M Weber J Sullivan GClare.P and Jacobs R.R prophylaxis and management of hamstring muscle injuries in intercollegiate football players Am J Sports Med 1984;12:5,368-370

3)Liemohn.W Factors related to hamstring strains.J sports Med 1978;18:71-76

4)Toshiharu Yamamoto Relationship between hamstring strains and leg muscle strength J Sports Med Phys Fitness 1933;33:194-199

5)Orchard J Marsden J Lord.S and Garlick.D preseason Hamstrings Muscle injury in Australian Footballers Am J Sports Med 1997:25:1,81-85